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華のしずく~あなた色に染められて~

第27章 【月華-月姫(TSUKIHI)-~華のしずく~】幻の蝶

「苦しうない、面を上げるが良い」
 やや固い声音で促され、月姫はわずかに顔を上げた。
「そなたが月姫か」
 訊ねられ、月姫は平伏したまま応えた。
「奥方様にはお初にお眼にかかりまする。月姫と申しまする」
「良い、顔を見せよ」
 再びはるか上座から声がして、月姫よりやや離れた場所にいた年輩の侍女が声をかけた。

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