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華のしずく~あなた色に染められて~

第30章 【剣(KEN)~華のしずく~】 闇に喚ばれし者

「なに、婆さん、あの若者に天下取りの相が出ておったというのか」
 主は信じられないといった風情である。
「ああ、じゃから、わしは若いのにそう言うてやった。しかし、あれは、最後まで話を聞かずに行ってしまいおったよ」
 老婆は呟いた。
「では、あの若者は秀吉公の生まれ変わりであったと?」
 主がいつになく真面目な表情(かお)で訊く。老婆の細い眼が再び開いた。

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