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華のしずく~あなた色に染められて~

第3章 【華のしずく】~夏雷~

 珠々は、力を失い、ぐったりと崩折れた。その躰を信成は愛おしげにそっと抱きしめた。珠々の丈なす長い豊かな黒髪が白い湯にゆらゆらとたゆたって漂う。その様は、さながらしのつく雨に打たれる花のようであった。
「安堵致せ、わしは、そなたを一生かけて守る」
 信成は呟き、もう一度、珠々を抱きしめたが、その仕草には深い労りと愛情が込もっていた。

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