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華のしずく~あなた色に染められて~

第5章 【華のしずく】~永久(とこしえ)~

 ふいに、秀吉が左眼の黒い眼帯を取った。
その刹那、珠々は息を呑んだ。愕くべきことに、秀吉の時に蒼くも見える眼は双(ふた)つとも鋭い眼光を宿して輝いていた。左も右眼とは変わりなく、醜くひきつれているわけでもなければ、ただれて塞がっているわけでもなかった。どう見ても、その左眼が光を失っているようには見えなかったのである。
「そなたも俺の左眼が盲ていると信じておったのか」

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