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華のしずく~あなた色に染められて~

第5章 【華のしずく】~永久(とこしえ)~

 珠々が無言でいると、藍丸は人懐っこい笑顔を浮かべた。笑うと、大人びた美しい顔が歳相応のあどけなさを見せる。
「私も愕きました。我らがお館様が他人(ひと)に素顔をお見せになることなどありません。殊に女人の前であの眼帯をお取りになることは滅多にないのです」
 珠々はまだあどけなさの残る藍丸の顔を見ている中に、いつしか故郷に残してきた弟妹のことを思い出していた。

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