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華のしずく~あなた色に染められて~

第6章  雪の華~華のしずく~

「姫さま?」
 柏木が訝しげに徳姫の顔を覗き込む。
 徳姫は夢中で首を振り続けた。
「柏木、どうか羽柴の義父上にはこのこと、知らせないで欲しい」
「何故にございます? 姫さまが昨夜ひと夜どのようなお想いでお過ごしになられたかと思うと、私、口惜しうてなりませぬ」
 柏木は眼尻にうっすらと涙を浮かべている。その涙を見た徳姫の心に初めて、温かなものが兆した。

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