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華のしずく~あなた色に染められて~

第7章 【雪の華~華のしずく~】二

 既に信成も亡くなって久しく、現在、貞心院は落飾出家して尼となり、隠居所の二ノ丸で起居している。徳姫も二、三度対面したことがあるが、隠居の身とはいえ、まだ三十五歳の若さであり、貞心院は若かりし頃の美しさを十分に残していた。色の透きとおるように白い、少しふっくらとした面輪は眼許が驚くほど信晴に似ている。

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