テキストサイズ

華のしずく~あなた色に染められて~

第7章 【雪の華~華のしずく~】二

 むろん、自分が信成在世中に暮らした奥向きの部屋も昔どおりに再現し、奥庭もかつて存在したままに作らせた。
 貞心院はこの部屋に徳姫が入輿するまで起居しており、新しい女主人のために自分は二ノ丸へ移り住み、代わって徳姫がここに暮らすようになったのだ。貞心院は自ら庭の花々に水を与え、殊に片隅にある柘榴(ざくろ)の樹は手ずから植え、いとおしんで育てたのだと聞いた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ