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華のしずく~あなた色に染められて~

第7章 【雪の華~華のしずく~】二

 そんな風に慎ましやかに生い立った徳姫ならばなおのこと、良人信晴に他(あだ)し女性がいるのではないか―、嫉妬めいた感情を抱くことを罪悪感のように思わずにはおれないのだ。
 実のところ、信晴には現在、徳姫の他に女性はいない。別に特に女嫌いというわけでもないのだが、十八歳という年令に達していても、信晴は、どういうわけか一向に身辺に女性を置こうとはしなかった。

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