華のしずく~あなた色に染められて~
第7章 【雪の華~華のしずく~】二
その梅模様の縫い取りの打ち掛けの背中をつややかな黒髪が滝のように波打って腰まで流れ落ちている。そのか細い背中が細かく慄えているのは泣いているからに相違なく、この姫はこんなときですら、自分の感情を懸命に押さえ込もうとしているのだった。
既に信晴とのことは諦めたように見えても、こんな風に時として激しい哀しみと切なさが十七歳の彼女を襲う。
いや、諦めているように見えるのは、ほんの上辺だけのことにすぎず、心の奥底でいつも徳姫は血の涙を流しているのだ。
既に信晴とのことは諦めたように見えても、こんな風に時として激しい哀しみと切なさが十七歳の彼女を襲う。
いや、諦めているように見えるのは、ほんの上辺だけのことにすぎず、心の奥底でいつも徳姫は血の涙を流しているのだ。