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華のしずく~あなた色に染められて~

第7章 【雪の華~華のしずく~】二

 その時、一陣の強い風が吹き抜けた。真冬の風は冷え切った空気と共に部屋に容赦なく吹き込んでくる。
 このまま放っておいては、何刻でもこの冷たい縁に座り続けているに相違ないと思ったのだろう、柏木は徳姫の耳許で囁いた。
「さあ、姫さま。お身体が冷え切ってしまわれております。中に入りましょう。今、熱いお茶などお淹れ致しまする」
 柏木に優しく言われ、徳姫は支えられるようにして立ち上がった。

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