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華のしずく~あなた色に染められて~

第2章 二

 信成にはかねてから近隣の諸侯の姫たちとの縁談があまたあったのだという。が、彼は見向きもず、戦に明け暮れる日々であった。一度狙った獲物は逃さぬ鷹のごとく、信成は標的とした国を必ず攻め破った。敵将の返り血を全身に浴びて太刀をふるうその姿はさながら戦神のごとし―と、歴戦の勇将も怯むほどの戦上手で、近年、破竹の勢いで頭角を現しつつあった戦国大名の一人であった。

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