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華のしずく~あなた色に染められて~

第8章 【雪の華~華のずく~】 三

「はい」
 徳姫は貞心院の心からの言葉に、深く頷いた。
 十八になる息子を持つようには到底見えない若々しく美しい貞心院だが、現実には徳姫の生きた倍以上の年月を重ねているのだ。その貞心院の言葉には不思議な説得力がある。
 「それに」と、貞心院が悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「殿御の〝嫌い〟を額面どおりに受け取ってはなりませぬ」
「―?」

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