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華のしずく~あなた色に染められて~

第9章 【蜩(ひぐらし)~華のしずく~】

 この戦乱の最中、しかも城が落ちるのは必定という時期になって、奥に残った女たちの数もわずかとなった。いずれもが城主夫妻と最期まで運命を共にしようと思った忠義の者ばかりである。おふうは今日も部屋に楓や千鳥と共に閉じこもっていたのだが、昼過ぎになって、楓が用事があると言って出ていった。楓の帰りが遅いのを案じて、千鳥はおふうに様子を見てくるようにと言いつけたのだ。

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