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華のしずく~あなた色に染められて~

第2章 二

 信成は珠々という娘を妻に選んだ理由をを、ただ「ひとめで惚れた」としか他人には言わなかったが、彼が娘の外見の美しさのみに魅せられたのではないことは明らかであった。
 珠々のその美点が重臣たちにも判るだけに、初めは異を唱えていた者たちもやがて珠々の存在を城主夫人として認めざるを得なかった。珠々の白無垢姿はあたかも雛人形のように美々しく可憐であったと、あの侍女頭の楓ですら後々まで誉めそやすことになったのである。

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