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華のしずく~あなた色に染められて~

第10章 【紫陽花~華のしずく~】一

 それは凪いだ静けさとは全く異なる、他人を威圧するような静寂に満ちている。時として、油断ならぬ剣呑さを帯びるのだが、彼は、得体の知れぬその危うさで他人に警戒心を与えることはない。いつも気さくな態度と相手を揶揄するような物言いで、人を煙に巻いてしまう。彼の前では、どんないかめしい人物でも自然と気を緩ませ、いつか素の自分を見せている。

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