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華のしずく~あなた色に染められて~

第10章 【紫陽花~華のしずく~】一

 どうやら、若い侍女が常磐井に何か告げにきたらしい。振り向けば、新参の侍女葛葉が常磐井に小声で耳打ちしていた。葛葉は青龍の国で新たに召し抱えた新参の侍女である。ゆえに、明子とは馴染みも薄いが、気難しい常磐井がよく今時の若い娘には珍しく気が利くと誉めていた。
 短いやりとりの後、葛葉はまた部屋を出てゆき、常磐井が明子の側に戻ってきた。

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