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華のしずく~あなた色に染められて~

第2章 二

「悪しき噂とな」
 信成は呟き、一瞬、遠い眼になった。しかし、すぐに元どおりの顔になり、いつもの彼らしい揶揄するような口振りで珠々に問い返した。
「いつも直截に物を申すそなたには珍しい回りくどい訊ね様よの。わしは、そなたの何をも怖れぬその度胸の良さに惚れたのじゃ。されば、案じることはない、胸の内にあることを存分に申してみるがよいぞ」

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