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華のしずく~あなた色に染められて~

第13章 【残菊~華のしずく~】一

 そう言えば、昨日、庭の柿の樹に昇って危うく落ちそうになったことを思い出し、侍女の誰かがまた時寿に注進に及んだのかもしれないと思い当たる。時寿のこの頃の口癖は「五喜様も年頃になられたれば、良い加減にしとやかにおなりなされ」である。時寿いわく、五喜の歳ならば、既に嫁してもおかしくはないゆえ、年相応の娘らしくなれというのだ。

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