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華のしずく~あなた色に染められて~

第2章 二

「昔話をするとしよう」
 突如として信成は、そんなことを言った。
 珠々が眼を瞠っていると、信成は自分の膝を片手で軽く叩いた。
「これへ」
 すぐに膝に乗れと言われているのだとは判ったが、この部屋では人払いがしてあるとはいえ、真昼のことである。
正直、珠々は気が進まなかった。しかし、信成の命を拒むことは許されない。恐る恐る信成の傍に膝行すると、彼は珠々の小柄な躰を易々と抱き上げ、膝に乗せた。

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