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華のしずく~あなた色に染められて~

第13章 【残菊~華のしずく~】一

 短い沈黙の後、五喜の肩に温もりのある手が置かれた。
「泣くな」
 五喜は涙を零しながら、秀吉を見上げた。
「泣かずとも良い」
 秀吉の眼に怒りはなかった。秀吉は五喜の華奢な身体を難なく抱き上げた。
「今宵は何もせぬゆえ、ゆるりと寝め」
 その言葉と共に、五喜の身体は大きな寝台にゆっくりと降ろされた。

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