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華のしずく~あなた色に染められて~

第14章 【残菊~華のしずく~】二

「―」
 時治が言葉を失う。五喜は時治の胸に顔を埋めた。五年前は少女と見紛うばかりであった時治も今は背丈もぐんと伸び、逞しい身体つきになった。その艶麗ともいえる美貌は秀吉のようにいかにも武将らしい美丈夫といった雰囲気ではないけれど、相変わらず美しい青年であった。今、こうして時治に抱かれていると、小柄な五喜はつま先立たなければ、彼の顔を見ることができない。

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