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華のしずく~あなた色に染められて~

第14章 【残菊~華のしずく~】二

―とうとう知られてしまった!
 その想いが身の内を駆けめぐり、怖ろしい予感が五喜を惑乱させた。恐怖に青ざめる五喜に、秀吉は苦笑を浮かべた。
「そちと時治が言い交わした仲だというのは、俺も初めて知ったぞ。時寿も人が悪い奴だ。それならそうと、端から俺に言えば良いものを。お陰で、俺が悪者になるところであった」
「お館様―」
 五喜が涙を溜めた眼で秀吉を見る。秀吉が狼狽したような顔になった。

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