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華のしずく~あなた色に染められて~

第15章 【夢のなか~華のしずく~】 鎮魂歌(レクイエム)

 礼拝堂の扉が細く開き、一人の若い男が顔を覗かせた。年の頃は二十三くらい、上背のある整った顔立ちである。青年は身を滑らせるように堂内に入り、最後尾の椅子に座った。狭い堂内には粗末な木の長椅子が幾列かに並んで置いてある。やがて、祈りを捧げ終えた人々が次々に立ち上がり、礼拝堂から出てゆく。ミサが終わったのだ。その場に二十人近く居た人々は、いつしかすべていなくなっていた。

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