華のしずく~あなた色に染められて~
第15章 【夢のなか~華のしずく~】 鎮魂歌(レクイエム)
神の子イエス・キリストとその母、聖母マリア。マリアはキリストを慈しみに満ちた微笑を浮かべ、そのかいなに抱いている。その優しげな様は、少女の面影を彷彿とさせる。青年は聖母子像を見上げた。こうしていると、すべてが夢の続きのように思える。
そう、今でも、この礼拝堂の扉を開ける度に、すぐそこに少女がいるような錯覚に囚われる。彼の瞳をきれいだと、たった一人ほめてくれた少女が。生命がけで人を愛し、そしてまた、生命がけで信仰の道に生きたその少女の名は―マリア。
そう、今でも、この礼拝堂の扉を開ける度に、すぐそこに少女がいるような錯覚に囚われる。彼の瞳をきれいだと、たった一人ほめてくれた少女が。生命がけで人を愛し、そしてまた、生命がけで信仰の道に生きたその少女の名は―マリア。