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華のしずく~あなた色に染められて~

第18章 【花紋~華のしずく~】 一

     一

 水面が早春の光を弾いて、きらめいている。
 空気の中にはまだまだ冬の名残の冷たさが含まれているが、季節は確実にうつろい、春はもうすぐそこまで来ていた。
 麗子(れいこ)がほっそりとした指先を唇に当てると、ピィーと澄んだ音(ね)が辺りに響き渡る。

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