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華のしずく~あなた色に染められて~

第18章 【花紋~華のしずく~】 一

―桜町中納言の姫君は随分と風変わりな姫だそうだ。
 そんな口さがない噂が囁かれ始めたのは、どれくらい前になるのだろう。当の麗子ですら思い出せないほど、昔のことだった。元々は、麗子がふためと見られぬほどの不器量な姫だという風評が幼い麗子について回ったことから、一連の噂は始まったのだ。
 しかし、それはかなり誤った憶測にすぎなかった。

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