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華のしずく~あなた色に染められて~

第18章 【花紋~華のしずく~】 一

 部屋の中で貝合わせをしたり―その遊び相手すらも、広子をはばかる侍女たちばかりであったため、ろくにいなかった―、書を読んだりすることの好きな内気な姫となった。一人でいることに飽きると、庭に出て、小鳥たちを呼び寄せては、餌をやって淋しさを紛らわせた。
 小鳥を呼ぶ指笛は、その頃、自然に習得したものだった。噂の内容が内容だけに、十八歳を過ぎる頃になっても、麗子にはまともな縁談がなかった。

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