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華のしずく~あなた色に染められて~

第18章 【花紋~華のしずく~】 一

 麗子は長く世話になった礼を述べ手をついて、父に暇を告げた。この時、麗子は十九歳になっていた。早婚の当時としては、薹(とう)が立っていると言われても仕方のない年令であった。嫁ぎゆく麗子を見送る際、継母の広子は表面こそいかにも哀しげな風を装っていたが、これで厄介払いができて、せいせいするといった安堵感は隠せなかった。

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