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華のしずく~あなた色に染められて~

第18章 【花紋~華のしずく~】 一

 やはり、変わり者と評判の姫ゆえかと皆、自分を嘲笑っているように思え、麗子は夜毎、枕に顔を押し当て声を忍ばせて泣いた。
 もちろん、良人となった信斉の訪れは一度たりとてなく、朱雀の国へ着いたその日から一人寝の夜が続いていた。いくら不具と噂されている身とはいえ、せめて婚礼の席に花婿として座っていてくれさえすれば、辛うじて麗子の面目も保つことができたのに、信斉の取った態度は到底常識では考えられなかった。

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