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華のしずく~あなた色に染められて~

第18章 【花紋~華のしずく~】 一

 嫁いで一年後、麗子は自ら願い出て、城を出た。麗子は形式だけの正室として遇されており、そんな彼女に対する周囲の眼は益々冷ややかなものとなっていた。良人信斉が麗子に見向きもしないのだから、致し方ないとしても、家臣や侍女たちの哀れみの視線にさらされることは麗子に想像以上の苦痛を与えた。

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