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華のしずく~あなた色に染められて~

第20章 【朱夏~華のしずく~】

 今日もまた、嫌がる藍丸にどこから調達してきたのか、女物の小袖を着せて、あまつさえ外に連れ出したのだ。
 この日は折しも城下では月に一度の市の立つ日で、町は大勢の人で賑わっていた。領主秀吉は他国との交易を積極的に行い、商人たちにも自由に出入りできる手形を発行している。そのため、青龍の国はかつてないほど多くの人が集まり、殊に市の立つ日は溢れんばりかりの人が集い、活気に満ちていた。

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