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華のしずく~あなた色に染められて~

第20章 【朱夏~華のしずく~】

 ふいに前を行く男が花売りに声をかけた。
「おい、その花をくれ」
「はい、毎度、ありがとうございます」
 初老の女が背に負うた籠を降ろす。若者は無造作に言った。
「その花、全部貰おう」
 愕いている花売りに懐から取りだした巾着ごと渡すと、若者は籠の中の花をすべて腕に抱えた。
「これをやる」

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