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華のしずく~あなた色に染められて~

第24章 【夕桜~華のしずく~】其の参~山梔子(くちなし)の夜~

 ある夜、あまりに乱れる我が身を厭い、帰蝶は一人、寝所から逃れ出た。傍らに寝(やす)む秀康はとうに眠りに落ちている。
 自分心とは相反して、身体だけは秀康との夜に馴れてゆく。秀康の熱い唇がうなじや鎖骨、胸を辿る毎に身体の芯に灯された小さな火はやがて燃え盛る炎となる。
 後はただ花びらが風に舞い流されるように、焔(ほのお)に魅入られて近づいた蝶が焔にその身も心も焼き尽くされてしまうように、帰蝶は秀康によって蹂躙され尽くした。

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