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華のしずく~あなた色に染められて~

第24章 【夕桜~華のしずく~】其の参~山梔子(くちなし)の夜~

―もしや、泣いている!?
 信じられないことだった。夜毎に自分を翻弄するこの冷酷な男が泣いているとは!
「兄上はすべてを持っていた。人から愛され、必要とされるすべてのものを。俺は幼いときから、兄上を羨んでおったのだ。俺にないものをすべて持っている兄上が妬ましくてならなかった。兄上の持っているものは、いつかすべてどのような手段を使うてでもこの手に奪い取ってやると思うていた」

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