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華のしずく~あなた色に染められて~

第24章 【夕桜~華のしずく~】其の参~山梔子(くちなし)の夜~

「秀康様に、真に戦(いくさ)のない世を作って頂きとうございます」
 秀康の歩みが止まる。その背に向かって、帰蝶は続けた。
「私は人と人が殺し合う、戦の世はもう嫌にございます。あの右府様さえ、本仁寺の炎の中であえないご最期を遂げてしまわれた―、どうか秀康様、お亡くなりになられた兄上様、秀継様のおんためにもこの国を動乱のなき泰平の世にして下さりませ」

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