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なななの短編♪

第11章 なぁなぁな2人


まだ乾ききっていない智の髪。

それが毛先でゆるゆるとカールしている。


特段美人、という訳ではないのに、見ていてかわいくて仕方がない。



もぉ……と呟きながら、立ち上がった智は、充電器に差していたスマホを取って、画面を開いた。




「ともちゃん……」



そんな智を見ながら、樹はビールを再び掴んで一口飲む。




「んー?」


「そういえばさ」


「うん」


「今日、合コンって言ってたけど」


「……あ〜…うん」


「……どうだった…?」




樹に言葉に、智は耳をぴくりと動かす。


そして、スマホをロックしたあと、しばらくその暗い画面を見つめた。




「……一人、連絡先交換しただけ」


「一人…?」


「うん」




顔を上げないままの智を見て、樹はへぇ…と言葉を洩らす。



嫉妬とか、独占欲とか……


そういった感情に、樹は慣れている。



智から合コンの話を聞いたら、そうした既知の、ドロドロした感情が湧いてくるかと思ったが、そうではない事に樹自身、驚いていた。



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