寡黙男子
第5章 キスは何歩目? *亜紀乃の世界*
「もうさ、自分からブチューといっちゃえば? ブチューっと」
「無理! 無理無理無理! 絶対無理!」
机に伏せながら、私は顔の火照りを感じていた。
学と付き合って5ヶ月。
ハグ止まり。
接吻無しの生活を送っております。
「はぁ……」
ため息をつきながら、頬杖をついた手の小指が微かに唇に触れた。
キス………
学と……キス……
クラクラとしてきた私は再び机に伏せた。
そりゃあしたいけどっ……絶対に緊張しちゃって死んじゃう……
「高橋くんも、本当無欲だよねぇ」
「潔癖だったりするのかなぁ……」
でも……手は繋いでくれるしな……