片想いの行方
第2章 通称 ヒメ
「…で?
今まで蓮くん一筋で片思いしてきた美和が、ここにきてヒメに惚れたとか言わないわよね?」
「ち、ちがうよっ!」
あたしは慌ててアンナを見た。
「ただちょっと昨日色々あって…。
でも、あたしが好きなのは鈴木くんだけ!」
「怪し~。 まぁ、その方いいけどさ。
ヒメはやめといた方がいいよ」
やめといた方がいい…?
てか、そもそも好きじゃないからいいんだけど。
その言い方、ちょっと気になる。
「それって遊び人だから、好きになっても泣かされる的な?」
「違う。 逆」
アンナはお弁当の蓋を閉めながら言った。
「みんなヒメの魅力にハマって、好きになると抜け出せなくなるの。
だけど…
ヒメにはずっと前から好きな人がいるから。
本気で恋しても、ヒメの彼女になるってのは
叶わない願いなんだよ」