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片想いの行方

第16章 治らない傷



優香がそのまま黙ってしまったので、俺は彼女の手を再度握った。


「…ごめん。

夏が終わったらもっと時間作れるから。

それまで待ってて?」



「……うん、分かってるよ。

分かってるけど、ちょっと寂しい」



そうだよな…

優香の方が夏休みは長いのに、全然どこにも行ってない。


俺は、握り締めた手に力をいれた。



「ごめんな……優香」



「ふふっ、いいよ。

その代わり、今ここでギュってして?」







ぼんやりと照らされた街灯の下で



俺は優しく包み込むように優香を抱きしめた。

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