片想いの行方
第20章 彼の勇姿
あの日、ヒメはあたしが泣き止むまで抱きしめてくれていて
落ち着くまで側にいてくれた。
あたしが何も言わないから、ヒメもそれ以上聞いてこない。
…だって……
やっぱり言えないよ……
自分の好きな人が、あんな風に人の気持ちを弄んでるなんて…
ヒメの想いを知って、あの切ない瞳を見ているからこそ
あたしはヒメに彼女の本性を言う事が、どうしても出来なかった。
自転車を押して駅まで送ってくれた、その別れ際に…
ヒメはあたしに一言だけ言った。
『美和。
これからは、1人で泣いたりするな。
理由を言えなくてもいいから、すぐに呼べよ』