片想いの行方
第20章 彼の勇姿
「……香月……」
蓮くんが階段を降りて、あたしの隣りのイスに座った。
乾ききっていない濡れた髪から、雫が落ちる。
その近さに、もう心臓が壊れるように鳴り続ける。
「…腰が抜けて立てないって……本当?」
「…い、いえ!! 大丈夫です!!」
胸のドキドキがピークに達して、あたしは慌てて立ち上がった。
…なんとか立ち上がったはいいけど………
あたしの足は、産まれたて子鹿のように震えていた。
「……ぷっ………」
急に、蓮くんが吹き出した。
「……? あ、あの……」
「いや、ごめん。
なんつーか……
そんなにまでなった奴初めて見たからさ。
……ははっ。 やべー止まんねー」
「………れ、蓮くん……///」
蓮くんは、今まで見た事のないくらい、お腹を抱えて笑いだした。
……こんなにゲラゲラ笑う蓮くん、見たの初めて……