テキストサイズ

片想いの行方

第23章 月灯り、我を忘れて…



「……………香月……」




唇が少し離れた時、蓮くんがつぶやく。



すごく驚いてる声。



蓮くんは、水の中であたしの体をしっかり支えながらも



困惑を隠せない様子で、もう片方の手であたしの顔に触れた。



「……香月……?

………どうしたの………」





「……っ…

蓮くん……離れちゃイヤ………」





「………香………っ…」




蓮くんがどんな表情をしているのか見るのが怖くて


彼が離そうとした体を、さらに近付けるように


彼の言葉を塞ぐように、もう一度キスをした。






月灯りに照らされたプールの中で



この時のあたしは、意識も、体も



目の前の蓮くんに、完全に侵食されていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ