片想いの行方
第28章 目を覚ませ
ドクンと心臓が鳴る。
「…………でも………香月はお前の事が…………」
俺の口からその名前が出たことに
ヒメは満足そうな顔をして、再び俺に目線を向けた。
「……俺は、悩んでるあいつの、相談相手になってやっただけだ」
「………………!」
「誰かの泳ぐ姿がカッコよすぎるとか。
教え方が上手で、嫌いだったプールが好きになったとか。
毎日毎日、誰かさんの事を褒めまくりで。
聞いてるこっちとしては、いいかげん飽きてくるっつーの。
彼女がいるから、諦めなきゃいけないのは美和自身も分かってるのに
……誰かが思わせぶりで
惑わせるよーなことばっかりするからさ」
ヒメはふっと笑って
呆然とする俺に、小石を投げつけてきた。