テキストサイズ

片想いの行方

第37章 ひとつだけの宝物



▼Side... ヒメ





落ち着け。






状況をよく整理するんだ。






俺はなんとか息を整えようとして、胸に手を当てる。






だけど






地べたに座り、涙を流して蓮の後ろ姿を見つめる美和と






蓮に殴られた頬から伝わる、鈍い痛みで






ドクドクと鳴り続ける鼓動が治まらない。








それでも、俺はゆっくりと立ち上がろうとする。





「………美和……」






俺が呼ぶと、美和が振り返った。






「……ここで待ってろ。


俺がもう一度、蓮を連れ戻してやるから」






「…………っ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ