テキストサイズ

片想いの行方

第62章 過去と未来

「……………っ」




「……私にいっぱい幸せをくれてありがとう。


私、蓮くんにどれだけ感謝してもし尽くせない。


蓮くんが一条さんを葬ってくれたから、私はまた笑顔になれたんだよ。


蓮くんが…………っ」








美和の言葉を遮って




俺はきつくその体を抱きしめた。






「……………!」








『残酷な人ね』





別れ際に言われた、瑠璃の言葉を思い出す。



俺が瑠璃に言った過去形の言葉を、まさに今、美和から告げられた。




だけど





「………美和………」





愛しいその体を包み込んで



俺は静かに続ける。






「………ありがとう。


充分伝わった。


俺も、美和と付き合えたあの頃が


1番幸せだったよ」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ