片想いの行方
第62章 過去と未来
「………………っ」
「……ずっと、忘れないよ。
蓮くんが私を愛してくれたこと。
私に光を与えてくれたこと。
……絶対に忘れない」
輝く涙を浮かべながらも、美和は笑っていた。
「蓮くんが好きだって言ってくれた私の笑顔。
……ヒメにも、同じ笑顔が溢れるように
絶やさないように、強く生きていくからね」
俺は最後にもう一度だけ、美和を抱きしめた。
二度目の別れでも、あの時とは違う。
自分から背を向けた時とは違い、お互いの想いを開放して、美和が笑顔で送り出してくれる。
「………ありがとう、美和」
ずっと彷徨っていた俺の片想い
ようやくひとつの光となり、空へと放たれた。
そして、これからもうひとつの想いが彼女に届く。
俺は、あの時に言った台詞を思い出して、そっと美和に告げた。
「早く行って、ヒメの涙を止めてやってよ。
泣き虫で、世話の焼ける……
俺のたった1人の、親友なんだ」