テキストサイズ

片想いの行方

第71章 ★君のままでいい

バッと顔を上げると

彼は私に向かって優しく笑った。



「ありがとう、助かった」



綺麗な声。

ドクンと心臓が鳴る。



………まさか……よね?

偶然同じ名前で、人違いってことだって……

でも、もしかしたら本当に……



「ほら、やっぱり俺の言った通りじゃないですか。
入ってからで良いんですよ」

「俺は姫宮と違って、何事も確認してから行く慎重派なんだよ」

「なんすかそれ」



会話する彼の姿を、もう一度見つめた。



蓮とタイプは違うけど。

すらっとした手足に、センスのいいお洒落な服。

ツーブロックの髪、整った鼻筋、シャープな輪郭。



バルセロナの夜、蓮が酔っぱらって話した時の事を思い出す。

……そう、確かに

蓮は彼をヒメと呼んでいた。




“ 名前が同じ ”

“ 茶髪でイケメン ”




「……………っ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ