神様の独り言
第8章 神様は愛を理解する
『しかし…困りましたね…』
酒井の指が…困った顔に添えられる…
「――――?」
ハキは、何を困っているのかわからず首をかしげる…
「ごめんなさい…裕太にはお墓がないのよ――――…
無縁仏として…もう…集団埋葬されていると思うの…
彼が無くなった時期は…定かではないけど…2年前ぐらいたつのかもしれない…」
手元にあるこの戸籍だけが生き…グルグルと金と引き換えに動いていただけなのだから…
道子にも…本当の裕太がどうなったのかは…知るよしもなかった…
『そうか………ごめん…無理…言った――――…』
ハキの指が…申し訳なく動く…
「でも――――…何とかするわ…ハキ……いいえ…“裕太”…ちゃんと…報告出来るようにするから…戸籍…進めていい?」
道子は、ハキに書類を手渡す―――…