神様の独り言
第6章 神様は罪を許し歌う
翌日…
道子は、満ち足りた気分で目が覚めた―――――…
広いベッドの中には…
真新しいパジャマに身を包んだ少年ハキが…
スヤスヤ寝ているのだ…
道子は、ハキの寝顔を見つめ…
自然と笑顔になっていた…
「おはよう…ハキ」
道子は、まだ寝ているハキに優しく声をかける――――…
昔…“おはようございます”と、つい…声をかけた使用人が…
「ああああ…道子様に声をかけて頂いた今日が…私の最良日でございます…
もぅ…私には明日など来なければいいのに…」
そう言い―――――…
その日の内に使用人を辞めてしまった…
…その日の夜――――…
地下鉄人身事故が起きた…
美知子は、あの使用人が関わっているだろうと…思ったが…
いちいち反応するのもばか臭かったのを覚えている…
朝の挨拶が…死に繋がってるなんて思いたくないが…
ここ何年も…“おはよう”を声に出していなかった…
「おはよう…」
道子は、自分の喉に手を置き…
声帯が震えるのを確認した―――――――…